私は大学を出た後、NHKでアナウンサーを職業としたが、まず二、三カ月養成を受ける間、このメリハリについても厳しく指導された。ニュース読みにしろ、ナレーションや中継にしろ、何をやるにしてもメリハリをつけることの大切さを習った。
メリハリは基本なのだ。それでなければ棒読みになってしまう。
毎日の生活も仕事や楽しみとメリハリをつけている人ほど、生き生きと自分らしく生きられる。政治も経済も、生き方そのものもメリハリがなければ……。
国の方針がはっきりしてこそ、私たちの暮らしのメリハリもついてくる。今、しばらく思い切って一切を我慢すればいいのか、結果が見えてくるまで、ずっとちょこちょこした対策でしのぐのか。
はっきりさせて欲しい。
特に、感染者の多い首都圏中心の考え方になりがちだが、Go Toのおかげで私がLINEでチェックしている長野県をはじめ、全国の中心都市に感染者が増えていることを忘れてならない。
※週刊朝日 2021年1月1-8日号
■下重暁子(しもじゅう・あきこ)/作家。早稲田大学教育学部国語国文学科卒業後、NHKに入局。民放キャスターを経て、文筆活動に入る。主な著書に『家族という病』『極上の孤独』『年齢は捨てなさい』ほか多数