林:慶応高校、放校になっちゃったんですよね。

木村:ええ。でも、その後いい高校に行きましてね。名古屋の東海高校というんですけど、受験校で、年に4、5回、国立大学の試験問題で模擬試験をやるんです。その成績を廊下にダーッと貼り出すんですけど、入ったとき、僕は400人のうちの398番ぐらいだったんです。

林:あらら。

木村:そしたら母親が「まだ下に2人いるじゃないの」と言うんですよ。それから少しずつ上がっていって、100番台ぐらいになったら「これなら東京の私立に入れるよ」って言われて、慶応大学を受けたら受かって、また戻ったんです。

林:昔、橋本(龍太郎)総理と総理室で楽しそうに話してらっしゃるのをテレビでお見かけしましたけど。

木村:彼とは同学年なんですよ。加山雄三も同期で、戦後の自由な時代を楽しんだ世代ですね。

林:作家の安部譲二さんもいたそうですね。

木村:はい。すごく仲良かったです。彼も僕と一緒に慶応高校を追い出されたんですよ(笑)。

林:そのあと、慶応大学時代も世界放浪の旅に出て、大学に7年もいたそうですね。

木村:1年生を1年やって、2年生を2年やって、3年生を3年やって、4年生を1年やって、卒業までに7年かかりました。

(構成/本誌・松岡かすみ 編集協力/一木俊雄)

木村太郎(きむら・たろう)/1938年、米国カリフォルニア州生まれ。64年、慶応義塾大学法学部卒業後、NHKに入局。報道記者として、神戸に赴任後、社会部勤務となり、ベイルート、ジュネーブ、ワシントンで海外特派員を経験。82年から看板ニュース「ニュースセンター9時」のメインキャスターとして人気を博した後、フリーに転身。現在、フジテレビ系「Mr.サンデー」などの報道番組でコメンテーターを務めるほか、コミュニティーFM放送(湘南ビーチFM)の代表も務める。東京新聞でコラム「太郎の国際通信」執筆中。

週刊朝日  2020年12月25日号より抜粋