ここからロッテはどういった戦いをするかな。優勝争いの中で、これだけ実績のない若手を起用する機会なんて、過去にはない。通常のシーズンならば、優勝争いが佳境に入って、ここまで戦ってきた選手を使うから、入れ替えなんて多くはない。井口監督はもう腹をくくっているだろうが、選手一人ひとりが自分の役割に徹し、1球に集中したことは必ず財産になる。失敗してもいい。1敗の重たさを知ることだっていい。特別なシーズン。1分、1秒を昇格したロッテの選手たちには無駄にしてほしくはない。

 話題を少し変えよう。巨人の菅野智之が開幕からの連勝記録を伸ばしている。連勝だけでなく、登板試合はすべて勝利していることが素晴らしい。味方の得点より、1点でも少なく抑えることが勝利につながる。その時の点差や状況に応じ、いい意味で力を抜きながら、投球できる。そんな投手は10年に1人だろう。チームの期待、ファンの期待に応え続ける姿に拍手を送りたい。

(発売日の10月13日現在の情報に基づいています)

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝

週刊朝日  2020年10月23日号

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東尾修

東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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