東尾修
東尾修
10月6日、選手らの新型コロナウイルスの陽性が判明したことを受け、取材に応じたロッテの井口監督=代表撮影  (c)朝日新聞社
10月6日、選手らの新型コロナウイルスの陽性が判明したことを受け、取材に応じたロッテの井口監督=代表撮影  (c)朝日新聞社

 主力選手たちが新型コロナウイルスに感染したロッテ西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修氏がこの問題に言及する。

【写真】取材に応じたロッテの井口監督

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 ロッテから新型コロナウイルス感染者が大量に出てしまった。優勝争いをしている球団だからこそ、そのショックは計り知れないだろう。いつ感染した選手が戻ってこられるかも定かではない。10月4日に判明した岩下を含めた8選手が感染し、さらに濃厚接触者として特定された選手も入れ替えが生じた。入れ替えは20人以上となった。

 9月下旬に多くの感染者を出した阪神も19人もの入れ替えが行われたが、ロッテは遊撃、外野手とポジションの偏りが目立つ。今季の遊撃スタメンはほぼ藤岡で、他は鳥谷、三木、茶谷と先発を務めたが、経験した4人のうち、茶谷以外を一気に欠くことになった。外野手も濃厚接触者を含めて5人以上が抜けた。

 球団は規律違反はなく、大量感染に至る理由はわからないという。ただ、原因究明は当然のこととして、CS、日本シリーズ、そして来季以降を見据えて、12球団全体で情報を共有し、試合決行への判断基準をしっかりと設けてもらいたいと思っている。

 例えば、捕手3人が同時に感染したらどうなるか。これはチーム全体の感染者の人数の問題ではなく、試合など開催できるはずがない。球界の財産とも言える選手の健康面をしっかりと考える必要も出てくる。「どれだけ感染者が出ても、試合開催へ尽力する」ことが果たしてファンのため、チームのためになるのか。各自治体の保健所がOKならばいいのか。2軍が遠征中だったなら、大量入れ替えなんてできない。あらゆる可能性を議論してもらいたい。

 10日以上も自宅に戻ることもできず、遠征先のホテルで一人でいることほど、つらいものはない。ただ、会社で働く方、自営業の方も新型コロナウイルスへの対策、そして日常生活の中での我慢をしている。野球選手だけが特別なわけではない。時には「1日くらいは……」と思ってしまうことはあるだろう。ただ、日本シリーズを含めても残り1カ月半。何とか乗り切ってもらいたい。

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東尾修

東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝。

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