──臨んだ現場はどうでしたか?

 監督がどういうものを見たいのかっていうことを、いかに具現化していけるかということにすべての焦点を絞っていたんです。監督の撮りたいもの、撮りたい画(え)が決まっていて、それにどこまで皆が近づけるかってことなのかなと思いました。僕の場合、長く撮影をしていると甘えが出てくる。例えば監督から言われたことで自分にはできないって思うことがあると、「僕はこう思う」と主張しがちですが、それは一切なしにしようと。もちろん、自分にとっては思いがけないオーダーもありました。だけど今回はそうやるって決めていましたし、監督が意図していることを最大限にやって、なおかつ監督の思っている以上のものを提示したいなと思って取り組みました。

(取材・文/本誌・松岡かすみ)

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週刊朝日  2020年10月9日号より抜粋