※写真はイメージです (GettyImages)
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 映画「浅田家!」で、父、母、兄、自分の4人家族を被写体に、「家族がなりたかったもの」「家族でやってみたいこと」をテーマにしたユニークな家族写真で知られる写真家・浅田政志を演じる二宮和也さん。映画について、そして演じることとは。

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──最初に脚本を読んだ時の印象は?

(三重県の)方言があるんだなっていうのが一番大きかったです(笑)。僕は基本的に監督にお会いして、「なんで僕にお話をくれたんですか?」って伺って、「こういう理由で(二宮さんと)やってみたいと思ったんです」というお答えを頂いた時点で、極端な話、物語自体が面白いかどうかっていうのはあまり関係なくなる。「一緒に何かを作ろう」っていうことに関しての、気持ちの反応でしかないんです。だから「この話が面白そうだから出演したい」とか「自分が興味のある題材だから出たい」ということではなく、「監督が自分に求めてくれているものは何だろう?」っていうのを、毎日現場で反応しながらやっていきたいと思った時に初めて動く。脚本を読むのも、あまり内容を見ないというか、大体が“目次読み”。まず目次だけを追って大体の流れをつかむことが多いです。

──テキストを読むのではなく、耳で覚えると聞きました。

 特に方言があると余計に、台本を読む時間より、(方言テープを)聞き続けるほうが多くなりますね。(聞くほうが)視覚を奪われないので、同時に二つのことができるじゃないですか? 例えば目はゲームをしながらも、聞こえているのはずっと方言テープ。「母と暮せば」の時もそうやってずっと長崎弁を聞いていました。お風呂、ご飯、時々休憩する以外はずっと一日中テープを聞いていたので、1日15~16時間は聞いてたんじゃないですかね。台本だとそんなに長時間読めませんから(笑)。

──初タッグを組んだ中野量太監督の印象は?

(監督は)僕がこの映画に出演させて頂いた理由の一つです。日本アカデミー賞(2017年)の授賞式で、僕は最優秀主演女優賞の発表をさせて頂く立場だったんですが、(黒木)華ちゃんが「リップヴァンウィンクルの花嫁」でノミネートされていたんです。タイトルが難しいから(笑)、この作品の読み方ばかりを練習していたんですよ。結果、最優秀主演女優賞は(宮沢)りえさんで、その時の作品が中野監督の「湯を沸かすほどの熱い愛」だったんですが、僕は「リップヴァンウィンクル」に気を取られすぎていて、タイトルを言い間違えてしまったんです。それが本当に申し訳なくて。僕はこれまでずっと名前を言い間違えられてきた人生なんですよ。ジャニー(喜多川)さんにもずっと「(“かずなり”ではなく)かずや」って言われてきましたし。だから人の名前だけは言い間違えないようにしようってずっと思って生きてきたのに……本当にすみませんでしたという内容を監督への手紙に書きました。そしたら監督から「全然大丈夫ですよ」とお返事を頂いて「よかったら僕の映画に出てください」って言ってくださったんです。だから僕は今回、監督からのご指示通りにやり切ろうというのを、最初から一貫して決めて臨んだんですよ。

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