年金“繰り下げ”に落とし穴 妻死去で待機しても増額ゼロの場合 (1/5) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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年金“繰り下げ”に落とし穴 妻死去で待機しても増額ゼロの場合

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首藤由之週刊朝日
※写真はイメージです (GettyImages)

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〝寿退社〟世代の年金の落とし穴 (週刊朝日2020年10月9日号より)

〝寿退社〟世代の年金の落とし穴 (週刊朝日2020年10月9日号より)

「妻の死亡」という縁起でもないことは話題にしたくないのだが、老後資金の“大黒柱”である年金に影響が出るとなればそうもいかない。妻に先立たれた夫は、なんと年金を大きく増やす手段の「繰り下げ」制度を活用できなくなる場合があるというのだ。いったい、どういうことなのか。

【図】「繰り下げ」ができない2パターンはこちら

*  *  *
 しばらくすると全国各地の年金事務所で、次のようなやりとりが増えるかもしれない。

年金請求者・男性:「ようやく70歳を迎えました。本来なら65歳からもらえる年金を5年間、我慢したので、増額された年金をもらえますよね。楽しみで、楽しみで……」

年金事務所職員:「ちょっと待ってください。いま、あなたは独身だそうですが、奥さんがいらっしゃったことはないのですか?」

男性:「私がまだ会社勤めをしていた59歳のとき、病気で亡くしました」

職員:「奥さんは会社勤務などのご経験がありましたか?」

男性:「ええ、学校を出て結婚するまでの数年間、OLをしていました」

職員:「それなら、あなたは、そもそも年金を増やす資格がありませんよ」

男性:「エッ! そんなバカな……」

 男性は70歳で、「65歳からもらえる年金を5年間、我慢した」と言っているから、年金の繰り下げ制度を使っていたようだ。繰り下げ待機生活が満了し、いざ年金を受け取ろうと年金事務所に行ったところ、「そもそも資格がない」と職員に指摘されてあぜんとしている──そんなシーンを思い描いてみた。

 人生100年時代を迎え、長く生きれば生きるほどお金の心配をしなければならない。いわゆる“長生きリスク”が意識されるようになっている。

 超高齢化に年金財政の心配も加わって、国は「長く働いて、年金は遅くもらう」ことを推奨し始めた。企業に従業員の70歳までの就業機会確保を努力義務とした、改正高年齢者雇用安定法が来年4月に施行される。

 一方、年金の受給開始は65歳からが基本で、いまは70歳まで最長5年間の繰り下げができるが、今回の年金改正でさらに75歳までできるように制度が拡大された(施行は2022年4月の予定)。


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