米投資家ウォーレン・バフェット氏 (c)朝日新聞社
米投資家ウォーレン・バフェット氏 (c)朝日新聞社

 米国の著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社バークシャー・ハサウェイが日本の大手商社の株式を取得した。日本企業への本格的な投資は初めてとみられ、動向が注目される。

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 バークシャーは8月30日、伊藤忠商事や三菱商事など大手5社の株式を5%超ずつ保有したと発表。これを受けて31日の商社株はそろって上がった。「世界の金融市場から出遅れていた日本株、特に商社株に世界有数の投資家が関心を示したことは明るいニュース」(伊藤忠の岡藤正広会長CEO<最高経営責任者>)などと歓迎した。

 バフェット氏は、割安な株を長く持ち、株価が上がったときに売り抜けるやり方が得意だとされる。一方で、自分が理解できない事業をする会社には投資しないという。そんな“プロ”が商社に目をつけたのはなぜか。

 金融・財務の研修事業やコンサルティングに携わる小林修さんは「商社は危機のときでも経営の安定性を保てる点が強み」と指摘。「さまざまな事業を手がけ、経済危機への耐久力がある。リーマン・ショック後に企業が軒並み赤字になる中、商社は黒字を維持しました」

 日本独特の存在である商社。海外の投資家からは「わかりにくい」と敬遠され、株価は相対的に安いと映ってきた。株価水準を測る指標の一つ、株価純資産倍率(PBR)では、伊藤忠以外は理論上の解散価値を下回る1倍以下にとどまる。

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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