中止となった青森県弘前市の「弘前ねぷたまつり」 (同市提供)
中止となった青森県弘前市の「弘前ねぷたまつり」 (同市提供)
「づぼらや」がある大阪市街地
「づぼらや」がある大阪市街地

 人々の生活を一変させた新型コロナウイルス。編集部では、独自の対策や県民性をうかがわせる取り組みを全都道府県にアンケート調査した。地域独自の文化はどうなっているのか。

【アンケート結果】独自の対策や県民性をうかがわせる取り組みを紹介!

 愛媛県は「セーフティ・サイクリング・キャンペーン」を実施している。ソーシャルディスタンスの確保が求められるなか、他人との密な接触を避ける自転車の利用を推し進めようという考えだ。通勤時間が短く、余暇の時間が多いという県民性を持つ。雨が少なく、山や海にも恵まれ、「サイクリングパラダイス」と呼ばれるほどだ。県は2011年から自転車文化の普及拡大を進めてきた。「県民のサイクリング人口はかなり増えていると思います。安全に自転車に乗ってもらうためのマナーについても、愛媛が全国におけるフロントランナー。そういうところをお示ししたい」(県担当者)

 さらに地域を絞ってみたい。大阪市を象徴するエリアの一つ、新世界。ここで長年愛されてきたふぐ料理屋「づぼらや」が、コロナの影響で9月に閉店することになった。ふぐの立体看板で知られただけに、「看板がなくなるのは寂しい」「大阪が誇るふぐちょうちんは残して」などの声が相次いだ。

 道頓堀川沿いにあるグリコの看板やくいだおれ人形など、大阪には派手な看板がたしかに多い。「商売は目立ってなんぼ。これは大阪人が培ってきた商人根性です。目立つことの大切さを多くの大阪人が共有しており、強い愛着を持っている。だから、残したいという声も上がるのでしょう」(先の岩中さん)

「じょっぱり(頑固者)」で知られる青森県。今年はコロナの影響で弘前市の弘前ねぷたまつりが中止されたが、市の12町会が集まる東地区町会連合会では独自にねぷたを運行した。代表の大中実さんは「ねぷたは観光行事ではなく、無病息災・疫病退散という願いをもった津軽の行事。町内運行も自粛してほしいとお達しがきたが、コロナ禍でこそ粛々とやるべきだと考えました」。

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松岡かすみ

松岡かすみ

松岡かすみ(まつおか・かすみ) 1986年、高知県生まれ。同志社大学文学部卒業。PR会社、宣伝会議を経て、2015年より「週刊朝日」編集部記者。2021年からフリーランス記者として、雑誌や書籍、ウェブメディアなどの分野で活動。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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