弘兼:これからwithコロナの時代になります。販売形式などいろいろと変えなければならないことがあると思います。お二方はどうお考えですか?

桜井:一つはやっぱり輸出でしょうね。アジア全体がそれほど落ちていない。アメリカも景気が悪いけど、いわれるほど数字が落ちないんです。ということで輸出のウェートを高めないといけない。国内でいえば、酒を造っている者、口に入るものを作っている者の鉄則として、これはやっぱりうまいものを作るということしかない。

櫻田:私だけでなく、モスで働いている人も、コロナで今まで考えてもみなかったことを感じていると思うんです。今まではお店を開ければ、必ずお客さまは来店してくださり、飲食されたり、持ち帰られたりが日常的だったのに、「お店の中ではなく、持ち帰って食べよう」になった。飲食店に客席が必要かどうかを問われているんです。これまでのように、多くの客席をそろえた大きな店舗が売り上げを作る時代ではなくなったんです。

弘兼:モスには、ロボットが注文を受けるとか、ドライブスルーとか、接触が少ない販売方法がありますよね。

櫻田:今実験しているロボットは、人手不足の解消に加え、障害のある方が遠隔操作で社会に参加できるという目的があります。これからは接触を避ける、距離をとるという意味も出てくるのでしょう。ドライブスルーは全店の約半数の店舗が実施しています。

弘兼:そういうのがこれからの日常になっていくんでしょうね。

櫻田:これまでは昭和の時代の飲食店があって、平成ぐらいまでは変化しながらリアルなアナログの世界があって、令和の時代になり、コロナの時代になった。

弘兼:新しいフェーズに入るわけですね。

櫻田:今までは「(飲み)行こうか!」「あ、行きます!」だったのが、これからは「行こうか」もまずくなるのかと。飲み会の場に限らずコミュニケーションの場が減ったことでコミュニケーション力が落ちていると思います。そこを考えて分析しないといけない。生産性は上がったものの、一番大事なものがどんどんなくなっていったということにもなりかねませんから。

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