(c)さいとう・たかを/さいとう・プロダクション/小学館
(c)さいとう・たかを/さいとう・プロダクション/小学館

 コロナ禍の影響で、1カ月半にわたり新作の掲載を見合わせていた「ゴルゴ13」が、「ビックコミック」(小学館)で7月に復活した。連載開始から半世紀、一度の休載もなかっただけに、作者のさいとう・たかを氏(83)も悔しい思いをしたという。

「私が誇れる記録というのは、休んだことがないことくらい。宝物なので頑張ってきました」

 若いころは多忙で、徹夜は当たり前だったというさいとう氏。過労で入院したこともしばしばあったが、意地でも休むまいと、病床でもゴルゴを描き続けたという。

 しかし、ゴルゴは1968年の連載当初から分業制を採用してきた。10人余りのスタッフが携わっており、いわば「3密」の環境だ。

 皆の健康を考えた上での苦渋の決断だった。編集部にとっても、忸怩(じくじ)たる思いだった。

「編集部だけでなく、社内でも話し合いがもたれました。コロナが流行してからは、36ページを18ページずつ半分に割って掲載したんです。それで続けていくという選択肢もありましたが、コロナが深刻化していく中、先生から休載の提案をいただいて。反響は大きく、マスコミからの問い合わせが殺到し、読者からは『新作を楽しみにしています』との声を多くいただきました」(担当編集者)

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