「コロナ対策でカジノを閉鎖したため、米ラスベガスのIR企業の5月の売り上げは前年比99%減。マカオも95%以上の減。どこも既存施設の立て直しが急務で、日本市場は二の次という状況です」

 政治ジャーナリストの泉宏氏は、こう話す。

「(政府自民党内でも)今の状況でIRなど無理だとの声が圧倒的で、最低でも1年は延びると言われています。となると背負うのはポスト安倍政権ですが、逮捕者まで出した計画に誰が手を出すのか。政界全体が触れたがらない状態です」

 このまま菅氏が首相レースを勝ち抜けば推進に動くこともあるが、その可能性は低いと見る。

「もともと菅氏は安倍首相あっての存在。政権が代わって流れが切れれば、党内に担ぐ人はいないのではないか」

 一方、政治ジャーナリストの角谷浩一氏は、IRが実現するカギは二階幹事長と小池百合子都知事にあると言う。

「小池氏はIRを検討中で、市場がケタ違いに大きい東京がコロナ対策費補填(ほてん)のためなどとして誘致を表明すれば、撤退した事業者が戻ってくる可能性もある。小池氏は菅氏と犬猿の仲ですが、二階氏との関係は良好。二階氏が幹事長に再任された上でIRを誘致する絵を描けば、あり得ない話ではありません」

(桐島瞬)

週刊朝日  2020年8月14日‐21日合併号