「GoToトラベル」の実施で批判を浴びる菅義偉官房長官 (c)朝日新聞社
「GoToトラベル」の実施で批判を浴びる菅義偉官房長官 (c)朝日新聞社

 安倍晋三首相が7月発売の月刊誌で「(次期首相の)有力な候補者の一人」と持ち上げた菅義偉官房長官が迷走している。

「令和」発表を機に有力候補として知名度を上げたものの、菅原一秀前経済産業相、河井克行前法相の側近2人の辞任に加えて桜を見る会での場当たり的対応で失速。最近急接近している自民党の二階俊博幹事長が推進した観光支援策「Go To トラベル」の早期実施を後押しして政権内の評価を高めたとされるが、コロナ禍での強行に世論から猛反発を食らった。1日の新規感染者が全国で千人を超え、東京都医師会が臨時国会を開いて対応するように求めても、「与党とも相談する」などと明言を避けた。

 菅氏が抱えるもう一つの懸念案件が、IR計画だ。IR推進本部副本部長として旗振り役を務めてきたが、衆院議員の秋元司被告が収賄罪で起訴された。地元・横浜市が有力候補と想定した米カジノ大手のラスベガス・サンズはコロナ禍で撤退を表明した。

 菅氏は7月下旬の会見で「IRは我が国が観光先進国になるのに極めて重要な取り組み」と述べたが、見通しは暗い。

 海外のIR事業に詳しいベイシティベンチャーズの國領城児氏が言う。

次のページ