市販の舌ケアグッズ (c)朝日新聞社
市販の舌ケアグッズ (c)朝日新聞社
この記事の写真をすべて見る
舌の体操 (週刊朝日2020年7月31日号より)
舌の体操 (週刊朝日2020年7月31日号より)
舌苔のケア (週刊朝日2020年7月31日号より)
舌苔のケア (週刊朝日2020年7月31日号より)

 東京都内で新型コロナウイルスの感染が拡大している。都は警戒レベルを4段階のうち最も深刻なレベルに引き上げた。ウイルスに負けない体をつくるには口腔内の唾液、舌のケアが鍵になる。一石二鳥の鍛え方を伝授する。

【イラスト】「舌の体操」のやり方はこちら

 70代の男性患者の舌の表面は、びっしりと白いもので覆われていた。唾液の潤いはなく、口の粘膜は乾燥して舌も赤く炎症を起こしていた。

「高齢で寝たきりの患者さんにはよくみられる症状」と話すのは、北九州市のひまわり歯科の吉用卓院長だ。

「口の中、特に舌は細菌が繁殖しやすい場所です。舌の上に白や黄色っぽいものが見えたら、それは舌苔(ぜったい)といって、細菌やその死骸、食べ物のカスのかたまりです」

 舌が清潔に保たれていないと、30代や40代では口臭になって表れる。

 高齢になると、事態は深刻だ。舌で繁殖した細菌が飲み物や食べ物と一緒に体に入れば、誤嚥性肺炎で死にいたることもある。

 不衛生な口腔状態を放置するのは危険だ。

 というのもまさにいま、東京は新型コロナウイルス“第2波”に襲われている。夜の街だけでなく、高齢者施設でクラスターが発生し、中高年層に再びコロナの脅威は迫っているからだ。

 ウイルスに負けない体をつくるためにも、舌をケアすることが大事だと指摘するのは、神奈川歯科大学副学長で環境病理学を専門とする槻木恵一教授だ。

「新型コロナウイルスをはじめとするウイルスや菌は、口や鼻などの粘膜から体に侵入します。新型コロナの病態の特徴として、味覚と嗅覚がなくなったことが報告されていますね。これは、舌の表面で味覚をつかさどる味蕾(みらい)という器官に、ウイルスがくっついて、異常を起こした可能性があります」

 鼻よりも口のほうが入り口は大きい。口からの侵入を防ぐためには、どうしたらいいのか。

 槻木教授がすすめるのは、朝一番の歯磨きと舌磨きだ。夜寝ている間は、抗ウイルス・抗菌作用を持つ唾液がほとんど出ない。

次のページ