「愛の不時着」で、北朝鮮の盗聴担当「耳野郎」を演じて一躍時の人となったキム・ヨンミンさん(48)。次作のドラマ「夫婦の世界」(日本では7月10日からKNTVで放送中)は韓国のケーブルテレビドラマ史上最高の視聴率を記録する大ヒットとなるなど絶好調だ。
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──「夫婦の世界」の撮影は「愛の不時着」と重なっていたそうですね。
実は耳野郎は命をなげうって真実を明らかにするだろう、途中で死んでしまうだろう、だから、撮影は重ならないと思っていたんです。うれしい勘違いでした。
──撮影が重なった時、役の切り替えは?
現場の雰囲気がまったく違いましたので、自然と役に入り込めました。「愛の不時着」のソウルのシーンでは北朝鮮4人組と合流して、目が合っただけでも噴き出してしまうような楽しい現場で、「夫婦の世界」はひとつの作品に向かい、みな役に集中していました。
──北朝鮮兵士4人組とは今でも連絡を?
カカオトーク(チャットアプリ)には5人のグループチャットがありまして、連絡を取り合っています。会う約束をしていたのですが、みな忙しくてまだ実現していません。
──ヒョンビンさんやソン・イェジンさんとの撮影シーンで印象に残るのは?
ソン・イェジンさんとの数少ないシーンの中ではソウルで挨拶を交わすシーン。「はじめまして」と言われて、盗聴して知っているので耳野郎はまごついてしまう。ソン・イェジンさんの瞬間で演技に入る集中力には驚きました。ヒョンビンさんとの思い出深いシーンは、やはりヒョンビンさん演じる将校の兄の死の秘密を打ち明ける場面。苦悩や葛藤などの感情が一気に噴き出す、韓国では「感情シーン」といわれる場面で、ヒョンビンさんとはこの時、特別に話はしませんでしたが、感情に入れるよう待ってくれて、その配慮がありがたかったです。
──それぞれ、役作りされる過程でイメージされたものはありますか?
耳野郎の役を頂いた時は、盗聴した相手に共鳴してしまうドイツ映画「善き人のためのソナタ」を思い出しました。「夫婦の世界」ではウディ・アレンの「それでも恋するバルセロナ」。これは複雑に交錯する男女の関係を描いた作品で、主人公の男性が女性へまとわりつくような視線を投げかけるんです。そんな表情を思い出しました。