芝浦工業大のオンライン授業の様子=同大提供
芝浦工業大のオンライン授業の様子=同大提供
学生のオンライン環境を整備するための主な対策 (週刊朝日2020年7月24日号より)
学生のオンライン環境を整備するための主な対策 (週刊朝日2020年7月24日号より)
 (週刊朝日2020年7月24日号より)
 (週刊朝日2020年7月24日号より)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、大学の学びのあり方が激変しようとしている。オンラインによる授業はすでに当たり前。いかに質の高い教育を提供するかが問われつつある。いま、大学の教育現場を訪れると、新しい大学像が見えてくる。大学・学部の選び方も、大きく変わってきそうだ。

【12大学が実施するオンライン環境を整備するための主な対策はこちら】

 これまで人気を集めてきた国際系の大学・学部では新型コロナの影響が大きく出ている。英会話など対面でコミュニケーションスキルを磨く授業が多く、感染リスクが高い。また、海外では感染拡大が収まっていない国・地域が多いので海外留学ができなくなり、留学生の受け入れも困難になっている。

 そうした中でも国際教養大(秋田県)は4月20日から、美術や音楽、体育など実技を伴う授業を除き、オンライン授業を始めた。帰国した外国人留学生も、母国から授業を受けている。留学生が受講する授業については時差を考慮して、時間をずらして開講するなどの対処もしているという。担当者は「少人数授業が売りだが、問題なく実施できている。学びの質は落ちていない」と言う。

 現在取り組んでいるのは、オンラインによる海外大学への留学機会の確保だ。海外の提携大学などに、オンライン授業を提供してくれるよう交渉。学生を派遣することになっていた97校のうち、すでに22校から提供されることが決まった。今後も可能な限り増やしていく予定だという。

「本来の留学とは違うところもあるが、海外の大学でしか受講できない高度な授業もあり、少しでも学生の学習の機会を確保していきたい」(担当者)

 5月7日からオンライン授業を始めた立命館アジア太平洋大(大分県)は再開に際して、Wi−Fi機器の無償貸し出しや、ネット環境整備のための支援金として学生に一律3万円を給付した。録画された授業は実施せず、対話型授業を提供しているという。

 さらにいま取り組んでいるのは、1年生に国際的な経験を積ませることだ。外国人留学生と一緒にディスカッションする授業を設けるとともに、マレーシアと韓国、タイの協定校に呼びかけて海外大の学生も参加する環境を整えた。これまでになかった新しい授業の形だ。入学部長の近藤祐一教授は言う。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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