会計士や税理士も、最近導入が進んでいる財務・会計ソフトやクラウドサービスに、仕事を奪われ始めている。コロナで資金力が落ち込んだ企業などは顧問料や手数料を払うゆとりがなく、今まで依頼していた手続きや届け出などを自力で済ます例も目立つという。

 同じような構図は、医師にも当てはまりそうだ。医師も、患者の診察結果や病理検査の分析など、患者に直接、接しない仕事に費やす時間は多いとされる。例えばAIを使った画像診断技術は、医師を上回る成績を上げた例も報告される。

 将来的に問診や検査の比率の高い内科医や検査技師、医療事務の担当者らの仕事が奪われるかもしれない。

 また「先生」と呼ばれる職種では、仕事の割に報酬が高く人員も過剰と、削減がいつも叫ばれるものの、一向に改革されない、国会議員、地方議員も無傷ではいられないという。

「財政難で人員削減、報酬削減はやらざるを得ないでしょう。議員は志のある人に安価な報酬でやってもらってもいいと思う」(前出の加谷さん)

 金融業界もコロナ後、変化を迫られた。行員の感染を防ぐために、顧客に不要不急の来店を控えるよう呼びかけ、交代勤務制を取り入れる動きが広がった。資金繰りに困った企業や個人の相談が相次ぐ都内の中小金融機関の職員からは「交代勤務制で今までの半分の行員で店舗を回せることがわかり、収束後に行員の削減を迫られないか心配」と戸惑いの声も漏れてくる。

 メガバンクは2017年に3グループの合計で約3万人規模の人員削減や店舗を減らすと発表したが、そこへコロナで動きが加速するのは必至だ。低金利で利益を稼ぐ手段も減り、ネットバンクやフィンテック企業の参入の動きにも防戦を強いられている。外出自粛期間中には、都内の店舗窓口やATMコーナーに行列ができ、行員がネットのサービス利用を促す姿も伝えられた。『銀行ゼロ時代』(朝日新書)の著者で金融コンサルタントの高橋克英さんはこう指摘する。

「ネット銀行第2位で預金量4兆円を超える大和ネクスト銀行の従業員は社長や役員含め97人しかいません。一方で5兆円クラスの預金量の地銀は2千人の従業員がいる」

 ある大手行員は「いわゆるシステム的な仕事や送金、預金などは徐々に自動化され、他業界からの新規参入によってなくなっていくだろう」と認める。

週刊朝日  2020年7月17日号より抜粋