コンサートといえば、ツアーグッズなどもファンにとっては楽しみの一つである。その販売については同グループの通販サイトを活用すると、西口代表は言う。

「会場で販売するというのは、やはり売り場に密集を生んでしまう可能性が高いという判断です。今回の夏のハロコンでは、たとえばタオルを売っても汗はかかないでしょうし、振ってもらうような場面もないでしょう(笑)。せっかくの機会ですから、コンサートの記念という意味合いは残しながら、通常のツアーグッズとは違ったものをお届けしようと考えているところです」

 今後のファンイベントや握手会などの行方もファンにとっては大いに気になるところだが、「対面で握手をするというイベントは、現状では難しい」と、西口代表は打ち明ける。

「その時の感染状況を踏まえたうえで、密を避けながら、ネットサイン会やお話会など、なるべくイベントは開催していきたいと考えています。もともと小規模であり、ステージも基本的に一人であるバースデーイベントは対応しやすいかと思います」

 大手事務所所属のハロプロコンサートが今回のような形で成立することで、他のアーティストやアイドルグループのコンサートのあり方に一つの道を作ることになる可能性は高い。

「手探りの部分ももちろんまだまだありますが、メンバーたちからみなさんに、直接気持ちを伝えられる機会が一日でも早く持てたらと考えた結果、先駆ける形になりました。とにかく一番に考えたいのは、感染しない、させないこと。そのうえで、どういうふうにエンターテインメントを届けられるのかという中で、今回のコンサートが一つのモデルケースになれば、アフターコロナ、ウィズコロナにおける一つの道を見つけられるのではないでしょうか。既成概念を一度忘れて現場に向き合うことで、もしかしたら新しいエンターテインメントが提供できるかもしれません」

「50代からのアイドル入門」著者でハロプロアイドルにくわしい書評家・翻訳家の大森望さんは、今回のハロコンについて、

「最初は、豊富な楽曲資産が売りなのに『ハロ曲を歌わないハロコンなんて……』とがっかりしたのですが、『赤い風船』や『ワインレッドの心』など超懐かしい曲は誰が歌うんだろう、尾崎豊の『I LOVE YOU』は誰が挑むのか、米津玄師の『Lemon』を歌う勇者は誰か? と、まんまと事務所の術中にハマってますね(笑)」

 と語る。

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