観客同士の間隔を開けるだけでなく、ソロ歌唱ということでステージ上での密も回避。さらにバラード曲ということで、大きな歓声を上げずに着席してじっくり聞くことができるなど、現状の指針を生かした公演スタイルとなる。

 ハロー!プロジェクトを運営するアップフロントプロモーションの西口猛代表に、今回の判断の経緯や理由について聞いてみた。

「ハロー!プロジェクトは、歌ってダンスをするグループの集まりなので、コンサートもどちらかといえば会場全体が盛り上がって楽しんでいただけるような高揚感を伴う演出や選曲が中心でした。しかし、そのようなエネルギッシュなパフォーマンスを今の状況下で行うことは、来ていただく皆様をはじめ、スタッフ、演者、多くの人への感染の危険性を考えた場合、難しいという判断がまずありました」

 そのうえで、政府や各自治体の示すガイドラインに沿った手段の検討を重ねたという。

「メンバーたちも、ステイホーム期間中にそれぞれが頑張って動画サイトやSNSなどで発信を続けてきましたが、やはりみなさんの前でパフォーマンスをしたいという思いも伝わりました。とはいえ、盛り上がる曲を歌って盛り上がるなというのも難しい話です(笑)。じゃあ、ソーシャルディスタンス(社会的距離)を守り、皆さんに座ってゆったり聞いていただきながら届けられるパフォーマンスとはというところで発想の転換をしてたどり着いた結果です」

 マスクを着用し、着席して鑑賞するスタイル。グループでバラードやスローテンポの曲を歌うのではなく、すべてソロ歌唱に決定。さらに、各公演に出演するメンバーを三つに分け、1日最大3公演のスタイルにすることも発表されている。

「日頃のグループでのパフォーマンスでは、ダンスのフォーメーションがいろいろ変わったり、メンバー同士の絡みなどもあったりなどがどうしてもあります。現在、ステージに上がるメンバーだけで52人、さらにスタッフなども含めると、すごい数になります。公演を三つに分けることも含め、可能な限りメンバーとスタッフの人数を身軽にしようというチャレンジでもあります」(西口代表)

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