「選挙が近づくと公明党との関係が重要になる。官邸で公明の信頼が厚いのは菅さんのため、衆院の任期が来秋に迫るいま、菅さんを交代させるのは難しい。最終的には国会答弁が問題になった森雅子法相など、小幅改造にとどまるのでは」

 そこで奥の手としてささやかれるのが、今秋の解散総選挙だ。8月17日には4~6月期のGDP(国内総生産)の速報が発表される。コロナの影響で大幅なマイナスになることは確実だ。前出の鈴木氏は言う。

「11月にはIOCが東京五輪中止を決定する可能性がある。米国では大統領選でトランプ氏が負けるかもしれない。同氏との蜜月関係を売りにしてきた安倍さんには打撃です。そこで、消費税を5%に下げることを旗印に10月解散を打ってくる可能性が出てくる」

 ただ、コロナ第2波がいつ日本を襲うかわからず、「小さな集会を重ねて選挙活動をする公明党が『密』を警戒して秋解散に否定的」(自民党関係者)との声も。現実的には、衆院解散の決断は「針の穴に糸を通す作業になる」(鈴木氏)。

 八方塞がりの安倍首相に、残された手は少ない。(本誌・西岡千史)

週刊朝日  2020年7月10日号