自民党の都合のいいようなお金の使い方をすれば、それはひいては秋の臨時国会からすぐ解散という流れになった場合に、国民の人気取りの政策のために使われてしまうかもしれない。そういう懸念は捨てられない」(岡島氏)

 解散の時期について、自民党の下村博文選挙対策委員長は5月30日の講演で、「来年10月の衆院議員任期満了に限りなく近く時期になる気がする。すぐにできる状況ではない」と発言。二階幹事長の会見でも、複数の記者たちから解散の時期に関する質問が飛ぶようにもなった。

「秋が深まると、通常のインフルエンザの流行に今年は新型コロナウイルスの第2波、第3波が加わる。さらには地震、水害などと自然災害時にコロナの感染が重なった場合の複合災害も心配です。来年になると、さらに一層不安定要素が大きくなる。東京五輪も開けるかどうかが危ぶまれる。安倍首相としては任期満了までいってしまうことは決して本意ではないでしょうから、タイミングとしては今秋の臨時国会冒頭で解散ということだってありうると思います」(岡島氏)

 前出の角谷氏はこういう見方だ。

「安倍さんは早く休みに入りたいわけです。秋の臨時国会も、いつまでも開かないようにするのでしょう。そうなると解散風が吹いてくるものの、解散のチャンスをなくし来年秋までこのままずるずるいくかもしれない。党内には、8月26日に佐藤栄作元首相の通算在任日数を超えて最長となるタイミングや、9月以降に延期された主要7カ国首脳会議(G7サミット)、APEC(アジア太平洋経済協力会議)などを安倍さんの花道にという動きもあります」

 安倍首相の胸中やいかに。(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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