2020年度の総額32兆円にも上る第2次補正予算案は、12日の参院本会議で可決された。政府は10兆円もの巨額の予備費を計上。立憲民主党の衆議院災害対策特別委員会筆頭理事の岡島一正議員はこう憤る。

「予備費は次の国会が開くまでに何か緊急に必要なことがあったら使うお金。必要なお金ですが、10兆円もの過度のお金は必要ではありません」

 前出の安住国対委員長は自身の体験からこう指摘した。

「私の財務大臣当時のことを振り返ると、10兆円というのは異常な数字です。大体、8千億円からせいぜい1兆円くらいまでが常識なんですよ。桁違いです。防衛省の1年分の予算の2倍ですから」

 与野党の国対委員長が会合を持ち、政府は5兆円については大枠の使途を示すように改めたが、残りの5兆円は依然として使い道不明のまま。予備費は、もしも災害が起きた際、国会が開かれて補正予算ができるまでの当座をしのぐために準備しておくという性格の予算だ。

「具体的に何に使うかは政府に白紙委任で、政府の判断で決めることができるから、『桜を見る会』のような集まりに使おうと、飲み食いに使おうと議会はチェックできないのが実情なんです。政府に白紙委任される金なので、10兆円を自由に使わせてもよい、というくらい安倍内閣に信用があるのかという話です」(安住氏)

 今国会閉会後、次の秋の臨時国会をいつ開くかは安倍首相が決める。

 前出の岡島議員はこう続ける。

「5兆円にしても10兆円にしても、国民の税金なんです。もし、緊急事態が起きたら、まずは過去の予算で通常、用意してきた4千億円から8千億円くらいの予備費で対応する。そして事態に応じて委員会や国会を開いて本格的に対応すればいいわけです。最初から白紙委任の10兆円の予備費をぶち挙げたこと自体、自由に使える予算さえあれば国会は当分開きませんという宣言をしているようなものです」

 予備費が事実上、選挙アピールに使われてしまう恐れさえあるのだ。

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「臨時国会冒頭解散も」