“手紙で恋する”は本当? 高樹のぶ子と林真理子の女流作家対談 (1/2) 〈週刊朝日〉|AERA dot. (アエラドット)

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“手紙で恋する”は本当? 高樹のぶ子と林真理子の女流作家対談

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高樹のぶ子さん(右)と林真理子さん (撮影/写真部・掛祥葉子)

高樹のぶ子さん(右)と林真理子さん (撮影/写真部・掛祥葉子)

高樹のぶ子(たかぎ・のぶこ)/1946年、山口県生まれ。80年「その細き道」で作家デビュー。84年「光抱く友よ」で芥川賞、94年『蔦燃』で島清恋愛文学賞、95年『水脈』で女流文学賞、99年『透光の樹』で谷崎潤一郎賞、2006年『HOKKAI』で芸術選奨文部科学大臣賞、10年「トモスイ」で川端康成文学賞。芥川賞をはじめ、多くの文学賞の選考にたずさわる。17年、日本芸術院会員。18年、文化功労者。19年の日本経済新聞夕刊連載をまとめた『小説伊勢物語 業平』(日本経済新聞出版)が好評発売中。(撮影/写真部・掛祥葉子)

高樹のぶ子(たかぎ・のぶこ)/1946年、山口県生まれ。80年「その細き道」で作家デビュー。84年「光抱く友よ」で芥川賞、94年『蔦燃』で島清恋愛文学賞、95年『水脈』で女流文学賞、99年『透光の樹』で谷崎潤一郎賞、2006年『HOKKAI』で芸術選奨文部科学大臣賞、10年「トモスイ」で川端康成文学賞。芥川賞をはじめ、多くの文学賞の選考にたずさわる。17年、日本芸術院会員。18年、文化功労者。19年の日本経済新聞夕刊連載をまとめた『小説伊勢物語 業平』(日本経済新聞出版)が好評発売中。(撮影/写真部・掛祥葉子)

 作家の高樹のぶ子さんの最新作『小説伊勢物語 業平』がヒットしている。歌物語「伊勢物語」をモチーフにした在原業平の一代記だ。作家・林真理子さんと高樹さんとの対談では、手紙の重要性から英雄論まで語られた。

【写真】高樹のぶ子さん

*  *  *
林:『業平』の中に和歌の手紙がありますが、私、昔、源氏をゼロからやったときに、国文学の先生に「会ったこともない男女が、好きだ好きだってヘンじゃないですか」と言ったら、先生が「手紙の文字、歌のうまさ、墨の濃淡、紙の選び方、添える枝、すべての美意識とセンスが手紙に出ている。これが本当の恋愛じゃないですか?」って言われて、目からウロコでした。

高樹:そうなのよ。手紙の中に、全部の品格と教養と、その人の過去すべてのものがある。書き散らした文字の習熟度とかね。だんだん年齢を重ねるようになると字も変わってくるし、人生のいろんなことが集約されてるわけ。

林:そうなんですよね。今、NHKの朝ドラで「エール」ってやってますけど、主人公のモデルになった作曲家の古関裕而さんと奥さんは、文通で知り合ってラブラブになってくるんですよ。文通の中で「写真がほしい。あなたが醜くても美しくても、あなたを愛する心には変わりありません」とか。

高樹:へぇ~、そうなんだ。

林:ついこの前まで「平凡」とか「明星」に文通欄があったように、日本ってそういう文化があったんじゃないかな。

高樹:あったんだと思う。書かれた文字と、そこにある言葉と、そして手紙の香り、五感があるじゃないですか。中には絵を描いたりする人もいるし、過去の歌からとってくる「引き歌」というテクニックもあって、どれだけ古の和歌を知っているかという教養にもつながるし、すべてが詰まっている。それを指導する女房が近くにいたら、それも女性の力。全部あらわれてますよね。

林:それを読み取れて書ける業平って、やっぱり魅力的ですよ。この本にある業平は、非常に知的でエレガントな男の人でした。すごくいい男だと思った。


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