プロ野球では選手が規律違反をした場合、NPBが出場停止にするなど厳しい対応をしています。罪を犯した人が球団のトップでは、選手に示しがつかないのではないでしょうか」

 過去には、西武ライオンズのオーナーだった堤義明氏が、証券取引法違反の問題で辞職したことがある。宏之氏は堤氏を例にして「外国での判決とはいえ、昭夫氏は球団オーナーにふさわしくない」と話す。

 兄弟が対立する背景には、ロッテグループ副会長を務めていた宏之氏が、2015年に昭夫氏らから解任されたことも絡んでいる。武雄氏の後継をめぐる「骨肉の争い」と報じられた。

 追放された形となった宏之氏はその後、ロッテホールディングス(HD)の株主総会で5回にわたって自身を経営陣に戻すように要求。いずれも否決された。今年の総会では、昭夫氏の解任などを求めるという。

 本誌は、NPBに対して昭夫氏の球団オーナー就任についての見解を求めたが、期限までに回答はなかった。ロッテHDは本誌の取材に対し「この件についてのご質問については、回答しかねます」と答えた。

 千葉ロッテの今年のスローガンは「突ッパ!」。昭夫氏は、実兄からの“退場勧告”も突き破るつもりなのだろうか。(本誌・西岡千史)

週刊朝日  2020年6月19日号