妻「『やっぱりね』じゃないわよっ! ……あんた、子どもが3人もいて、予防接種をどこでやっているのかもわからないのっ!?」


 私「いやいや、そんなことないよ。わかりますよ(汗)」
 妻「わかってないんでしょ!? 聞いてきたってことはっ! わからないから聞いたんでしょ、私にっ!」
 私「いやいや、確かめただけだからっ! 『学校じゃやってないんだろうなぁ』とは思ったけど、いまいち確証がないから君に確かめたんだよ」
 妻「どーだか! だいたいねー、私がどれだけ大変な思いで子ども3人を予防接種に連れてったか、あんた全然わかってないでしょ!?」
 私「オレだって病院連れていったことくらいあるさ!」
 妻「予防接種はっ!?」
 私「ないかも……しれない」
 妻「でしょっ!! それだからあんたは……」

 そこから我々の話は飛びに飛び、「あなたと同じ墓には入らない」という物騒な話題になったのだった。

 新しい『ワクチン』もこれくらいの速度と拡大力で、完成から普及に繋がるとよいな、と心から思うばかりです。

週刊朝日  2020年6月5日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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