林:でも、女性誌には、だんなは稼ぎがいいわ、結婚20周年にダイヤの指輪をくれるわ、一生愛し続けてくれるわ、子供のできはいいわ、ああいう専業主婦たちばっかり載ってるじゃない。元CA(客室乗務員)で、だんなは外資系で。

西原:そんな人はいないよ、世の中には。あんなの、私たちみたいにウソつきが書いてる話じゃない(笑)。

林:ご主人(フォトジャーナリスト鴨志田穣氏・故人)、アル中になって、離婚して、戻ってきたらがんになって、それも末期がんで。

西原:私の母親が2回結婚してるんですよ。最初の夫がアル中で次がバクチ。うちとまるで一緒なんだけど、それでも子供たちを大学まで出したりできたのは、母親が何があっても働き続けたからです。彼女は家3軒建てて、男を2回代えてるんですよ。私は男はまだ1人で、家3軒なんで、うちの小2の娘に「男は3人以上、家は5軒以上」ってキツく言ってるの(笑)。

西原:女の人って、いくつになっても「恋ばな」したいじゃないですか。*そういう話を描きたいと思ったの。自分も40過ぎて恋の話をするとすごく楽しいし、相手に何かしてもらおうという恋愛はしないし、この人の年収がいくらだから好きになるとか、そんなこと全然なくなっちゃうでしょう。対人間同士で付き合えるようになるから、恋はそっちのほうが全然楽しい。

林:そう、楽しい。

西原:「なくしたのはウエストだけ」ってみんなに言ってるんです(笑)。「ウエスト以外のものは全部手に入れちゃったわ。二度と若いころに戻りたくないわ」って。

週刊朝日  2020年6月5日号