休業していても、人件費や家賃、光熱費などの固定費を払い続ける必要がある。収入が見込めなくなるなか、会社を維持するだけでも大変だ。

 休業の要請が解除され、営業を再開しても、国が唱える「新しい生活様式」のもとで客のニーズが変わり、営業スタイルや戦略を見直す必要が出てくるかもしれない。

 東京都の休業要請よりも早い4月1日から休業を続ける東京・新橋の九州郷土料理店「有薫酒蔵」の女将の松永洋子さんも、不安を隠さない。店には出身校への思いの詰まった全国3200冊余りのノートが置いてあり、ノートを広げながら客同士で話に花を咲かせてもらうことが売りの一つだ。

「当店のよさは密閉・密集・密接の『3密』が前提です。営業の再開後は、感染者を出さないことが一番大事になりますから、今までどおりの営業スタイルを続けられるか心配です」

(本誌・池田正史、浅井秀樹、西岡千史)

週刊朝日  2020年6月5日号より抜粋

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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