二十歳で出場するはずだった東京五輪は遠くなったが、今後は24年のパリ五輪でメダルを目指すとしている。元東京大学医科学研究所特任教授で血液腫瘍内科医の上昌広医師はこう語る。

「抗がん剤だけの治療で、しかも21年の開催だったら東京五輪に間に合ったかもしれませんが、命の観点から言えば治る可能性がより高い造血幹細胞移植をして良かったと思います」

 上医師によれば、移植後、一般的にデスクワークでも仕事復帰には1年、早くても半年はかかるそうだ。

「しかし彼女はもうプールに入っている。スポーツをできること自体が驚異的なことなんです」(上医師)

 前出の番組内では、プールでタイム計測を希望。25メートル(バタ足)を19秒41で泳ぐと「記録しておいてください」と笑った。

 弱さも含めてありのまま全部見せられる。これが彼女の強さだろう。(本誌・大崎百紀)

週刊朝日  2020年6月5日号