林:ほんとですか。

樹木:友達の旦那が亡くなる年なのよ。「主人のラクダの股引とか、パイルのステテコとか、使ってないものがあるんだけど」って言うから、「私にください」って。下着はゆるゆるのがいいの。だから私の下着はみんな前が開いてるの(笑)。

林:もしもどこかで倒れたとき、脱がされてラクダの股引だと……(笑)。

樹木:気にしたことないですね。恥ずかしいなんて年齢ではないから。自分勝手がいちばんいいんじゃない?

林:カッコいいですよ。樹木さん、73歳ですよね。今の70代って皆さんすごくお若いし、若さに執着している人も多いと思いますが。

樹木:それはそれで素敵だと思うんだけど、私は畳んで畳んで、ちょうどいいあんばいで病気になったから、すごくありがたいの。私と同い年の女優さんと並んで座ってたら、プロデューサーがその人に、「お若いですねえ。50代に見えますよ」って言うわけ。でも、実際にキャスティングするときにその人に50代の役が来るかというと、来ないのよ。ところで真理子さん、整形してます?

林:してませんよォー(笑)。

樹木:私は、役者をやめて生きるなら、整形しようかなと思ってるの。今はすぐバレるからね。

林:樹木さんはいつも一人でお歩きになって、マネジャーさんや付き人さんがいらっしゃらないんですね。

樹木:そういう人がいると、その人の世話をしちゃうの。「あんた、おなか空いてない?」とかさ。

(中略)

林:そういえば、私、先日帝国ホテルで内田さんをお見かけしましたよ。

樹木:大好きなのよ、ホテルと飛行機とスチュワーデスが。

林:お子さんみたいですね(笑)。樹木さんのように、年をとることをおもしろがって生きることに憧れる人、多いと思いますよ。

樹木:おもしろがらなかったら悲愴になるもの。80歳を過ぎた知り合いが、白内障の手術をして両目が見えるようになって夫の顔見て「こんな汚かったのか」と驚いて、鏡で自分の顔を見てさらに驚いたって(笑)。そういう発見もおもしろいじゃない。

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