林:私は最近、人の名前とか固有名詞がまったく出なくなってきて、人間ドックで脳のMRIを撮ってもらったら、「年相応に縮んでます」と言われましたよ。

樹木:いいのよいいのよ、それで。夫の顔はわかるでしょう?

林:なんとかわかります(笑)。

樹木:私は死ぬとき、夫が「おう、大丈夫か」と言ったら、「まあご親切に。おたく、どちらさま?」って、これだけは言ってやりたいと思って(笑)。

■父親の役を放棄したのがよかった。
ロック歌手・内田裕也/2014年7月18日号

 樹木希林さんの夫であり、永遠のロックンローラーとしても知られた内田裕也さんにも、2014年にご登場いただきました。希林さんの死から半年後、後を追うように亡くなった内田さん。破天荒なイメージで知られ、対談にあらわれたときには「ものすごい存在感で、空気がいっぺんに変わってしまいました」(マリコさん)と言います。

林:もう、息子さんたちの世代になっているわけですね。……でも、内田さんってお幸せですよね。

内田:ブッ!(飲みかけたジンジャーエールを噴き出しそうになる)……失礼。

林:外でお好きなことやってても、お婿さん(本木雅弘)は立派で、お嬢さんは素晴らしい家庭を築いていて、お孫さんたちもちゃんと育っているじゃないですか。

内田:まさか後半の人生がこういう展開になるとは、さすがの内田裕也も夢にも考えませんでしたね。也哉子という娘がグレずに育ってくれたのが、ほんとによかったですね。俺、養育費は出してないわ、面倒は見ないわ、ほんとに何にもしてませんから、グレてもおかしくないですよ。

同席のマネジャー:おかしくないですね。

内田:おい、マネジャーがそんなこと言うなよ(笑)。まあ、俺が父親の役を放棄したのが、かえってよかったかもしれないですね。

(中略)

(内田さんが撮った映画の2作目「コミック雑誌なんかいらない!」について)

内田:内田裕也が映画をつくるっていうと、いろんなことを言うやつがいるんでしょうね。あらゆる映画会社に行きましたけど、誰も乗らないんだな。結局、資金も自分で集めて、脚本も書きました。(中略)実は僕は林さんに出演オファーをしてるんです。僕の嫁の役ですよ。そしたらケンもほろろに断ってきてさ。

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