コロナショックに便乗した悪質商法も広がる。「マスクを無料送布する」といったウソのメールを送りつけ、個人情報を引き出そうとする事例も報告されている。金融商品に限らず、お金が絡むものは一人で判断せず、家族や専門家に聞く。いったん契約しても一定期間内なら解約できるクーリングオフの制度もある。家族は高齢者らを責めずに、打ち明けやすい雰囲気をつくっておく。

 コロナショックはリーマン・ショックを上回り、かつてない経済危機になりそうだ。お金が消えたと騒ぐ前に、備えが十分できているか今すぐチェックしよう。(本誌・池田正史、多田敏男)

■危機を乗り切るための10カ条
・手持ちの資産を見つめ直す
経済危機の時は、ほとんどの金融商品が一気に値下がりする。まずは慌てずに資産の現状を把握しよう

・不要な出費はできるだけ抑制
特効薬などが開発されない限り、景気はすぐには回復しない。いまある資産を守ることに力を入れる

・株式の損切りは早めに決断
企業の先行きはかなり不透明で株価の値動きは激しい。損切りでいったん損失を確定させる勇気も必要

・積み立て投資は粘り強く続ける
金融商品の値段が下がってからも買い続ければ、取得原価が下がる。数年後を見据える粘り強さを持つ

・外貨建て商品はハイリスク
外国為替相場は激しく動く。ドル建て商品は円高ドル安になれば損失が膨らむ。ハイリスクを理解する

・生命保険は死亡保障が基本
生命保険は死亡や入院時の保障が基本。貯蓄性の保険は手数料が高めで、解約時に元本割れする恐れもある

・毎月分配型の投信は損かも
分配金が定期的にもらえる投資信託などは要注意。運用収益が伸びないのに無理に配当している可能性も

・営業マンの言葉を信じない
金融機関の営業マンは言葉巧みに商品を売り込む。ノルマ達成のために無理な販売をしている恐れもある

・よくわからないものは避ける
複雑な金融商品には思わぬリスクがあるかも。手数料も高い場合があり、自分が理解できるものだけ買おう

・困ったら一人で悩まず相談
無理な営業などで困ったらまず相談。一人で悩まず、金融庁や消費生活センターなど行政の窓口を利用する

週刊朝日  2020年4月24日号

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池田正史

池田正史

主に身のまわりのお金の問題について取材しています。普段暮らしていてつい見過ごしがちな問題を見つけられるように勉強中です。その地方特有の経済や産業にも関心があります。1975年、茨城県生まれ。慶応大学卒。信託銀行退職後、環境や途上国支援の業界紙、週刊エコノミスト編集部、月刊ニュースがわかる編集室、週刊朝日編集部などを経て現職。

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