金融商品を巡っては、個人投資家からの苦情もある。最近目立つのが外貨絡みの生命保険だ。18年度に国民生活センターに寄せられた相談は14年度の3倍以上。相談者は70歳以上が多く、為替リスクや手数料負担について十分な説明を受けなかったと主張するケースがあった。深野さんはこう指摘する。

「外貨建ての生命保険は、他の金融商品に比べて手数料が高めです。円高ドル安になれば損も生じます。生命保険に関しては『貯める』機能は諦めて、死亡・入院保障に絞る姿勢が必要なのかもしれません」

 毎月分配型の投資信託を巡るトラブルもある。元本を取り崩して分配金を支払っているものがあり、長い目で見ると損をするケースが相次いでいる。

 保険や投資信託など金融商品は様々だ。営業マンは言葉巧みにいろいろな商品を売り込んでくるが、自分で理解できないようなものを安易に買わないようにする。特に手数料が割高でないか確認する。いまはネット取引では、投資信託などの販売手数料が無料なことも多い。営業マンを通じて買うメリットがあるのかどうか、慎重に考えよう。

 営業マンにはノルマがあり、販売実績に応じて報酬が上がるのが一般的。営業マンの利益のために、顧客が不必要な金融商品を買わされる恐れがあるのだ。投資信託などを次々に買い替えさせて手数料を稼ぐ「回転売買」も、なくなっていない。

 かんぽ生命では大規模な不正販売が発覚。保険の乗り換え販売などで顧客に不利益を与えた疑いのある契約が過去5年で約1.3万件あった。職員に達成が難しいノルマを課したことが、不正を助長したとされる。

 投資に関しては営業マンの言葉を信じず、自分で一から調べるぐらいの心づもりが求められる。

 ここまで見てきたように、備えるべきポイントは複数ある。下記に「危機を乗り切るための10カ条」をまとめた。

 手持ちの資産を見つめ直す、不要な出費はできるだけ抑制する、よくわからない金融商品は避けるなどだ。どれも当たり前のように思えるが、基本ができていないと経済危機時には思わぬ損をしてしまう。なかでも大事なのが、困ったら一人で悩まず相談すること。

 しつこい勧誘をされたり、リスクの説明を十分受けなかったりした場合は、業者側に抗議する。対応してくれなければ、金融庁や消費生活センターなど行政にも通報しよう。業界団体ごとに相談窓口もあるので、参考にしてほしい。

「元本保証で高利回り」といった詐欺的な金融商品の勧誘を受けることもある。おいしい話は絶対ないと肝に銘じて、不審な点があればすぐに相談。営業マンから脅されるなど緊急時には警察に通報しよう。

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