「株価が落ち着くのは、ワクチンの開発など医療体制が整い、感染者の伸びが頭打ちになることが条件です。政府の経済対策にも左右されます。国内の株式市場は3月半ばの急落でいったん売り尽くされたと思われていますが、企業の2020年3月期決算が出そろう5月半ばまではなかなか安定しないでしょう」

 特に株価が低迷しているのは小売りやホテル、レジャー関連などの銘柄。外国人観光客が一気に減り、回復が期待できないなか、株価が反転するきっかけは見えにくい。

 これに対し、マスクや消毒液、人工呼吸器など医療・医薬品関連では、値上がりする企業も。自宅で過ごす人が増え、冷凍食品やテレワーク関連企業など、これからの成長が期待されるところもある。市場全体が冷え込んだいまが「底値」だとして、新たに投資を始める個人投資家もいる。

 大谷さんは投資する場合は、少ない銘柄に資金を集中しないよう指摘する。

「資金を集中させると値下がり時の痛手は大きい。一定の資金を残して、数回に分けて投資するようにしましょう。値下がりした場合には、『もう少ししたら上がるかも』などとダラダラ持ち続けずに、いさぎよく損切りする勇気を持つことも大切です。値上がりすれば、早めに売って利益を小まめに確定させるように心がけましょう」

 投資信託などを積み立て投資している人も多いだろう。前出の深野さんは、粘り強く続けるのが鉄則だと強調する。

「積立額は同じでも、価格が低い時にはより多くの金融商品が買えます。長い間買い続けることで、リスクを分散する効果が期待できるのです」

 為替相場の影響も要注意だ。海外に投資する商品は、経済危機時には損失が膨らむことがある。通貨そのものを取引する外国為替証拠金取引(FX)もハイリスクだ。

 FXに詳しい外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長は、海外通貨絡みの商品はいまは守りの姿勢に徹すべきだと言う。

「19年の1年間で8円余りしか値動きのなかったドル円相場が、今年3月だけで10円前後変動しました。経済危機の際には新興国や資源国の通貨は、資金が外部に流出しやすいので、値動きも激しくなります」

 値動きが大きい分だけ利益を上げるチャンスもある。いわゆるハイリスク・ハイリターンだが、大損をすることもある。投資はあくまで自己責任なので、リスクをいつも考えて投資するようにしよう。

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