室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家・室井佑月氏は、緊急事態宣言をはじめとする政府による新型コロナウイルスをめぐる対応を批判する。

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 この原稿を書いている今日7日の夜、安倍首相は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための、改正特別措置法に基づく緊急事態宣言を発令する。

 この日の朝日新聞デジタルの「きょう緊急事態宣言今の生活どう変わる? 変わらない?」という記事がわかりやすかった。

 結局、個人の外出自粛は要請のまま。大勢が集まるイベントの主催者が自粛要請に従わなかった場合は、自粛を指示できる。罰則はないけど、会社名などが公表される場合もある。

 ただ「宣言が出ると、知事は臨時の医療施設を設けるために、持ち主の同意がなくても土地や建物を使える。医薬品やマスクなどの保管を命じることもできる。物資を隠したり、立ち入り検査を拒んだりすると、罰金や懲役が科されることもある」という。

 うーん、最前線の医療現場を優先させるってだけで、ほかはあまり変わらないという認識でよいのかな? この国の6日までの感染者は4819人で、死者は108人にもなった。

 6日、安倍首相は「緊急事態宣言の検討状況についての会見」というやつで、緊急事態宣言というものの説明をしたが、先にあげた通りのものだった。

 安倍首相は、そして最後はこう締めた。「当然、諮問委員会の専門家の皆様からのご意見を伺(うかが)った上で、明日にも緊急事態宣言を発出したいと考えています。最終的に発出する段階では、私から記者会見を開いて、丁寧にご説明し、国民の皆様にどのようなご協力をお願いするかということについて、ご説明させていただきたいと考えています」

 7日、緊急事態宣言を出すってだけで、6日の説明で済んじゃってるじゃん?うーん、なんだかな。どうしてもあたしには安倍首相の見せ場を作るための「緊急事態宣言」という言葉であり、そのための会見であるように思えてしまう。

 ほんとうに今、緊急事態であって、国民に向けて会見をするならば、それはたぶん毎日になるだろうし、その日の検査数、感染者数、死者数などを真っ先に発表し、そんな中で政府としてその日にやったことを(検討ってんじゃなく)事務的に的確に述べていかないか。

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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