室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家・室井佑月氏は、森友問題の文書改ざんが原因で自殺した財務省職員の妻を全面的に支持する。

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 週刊文春の3月26日号に、「妻は佐川元理財局長と国を提訴へ 森友自殺財務省職員 遺書全文公開 『すべて佐川局長の指示です』」という相澤冬樹さんのスクープと、近畿財務局職員の赤木俊夫さんの遺書が載った。お亡くなりになった赤木さんの口ぐせは「ぼくの契約相手は国民です」だったという。そして、旦那さんを「トシくん」と呼ぶ奥さん。

 森友学園の問題で文書改ざんを命じられたその現場の人間だった旦那さんが残した遺書というか、当時の記録はもちろん衝撃的ではあった。

 しかし、国側はうまくごまかしたつもりらしいけど、森友問題のいかがわしさは、この問題を知っている人間なら誰もがわかっていることだと思う。

 あたしは相澤さんの記事で、泣いた。そして、森友問題で文書改ざんを命じられた職員が自殺、という言葉でしか把握していなかった自分に気づいた。もちろん、文書の改ざんや、人一人の命が失われた、という事実が重いことだとはわかっているが。

 記事の最後に、「三月十八日、昌子さん(赤木さんの妻・仮名)は大阪地裁に提訴する。被告となる国と佐川氏は、どのように応じるだろうか? さらに、責任があると名指しされた財務官僚たちは? 彼らを統率する責任がある安倍首相と麻生財務大臣は? そしてそもそもの発端となった森友学園の小学校の名誉校長だった首相夫人の安倍昭恵さんは? みな、赤木俊夫さんと昌子さんの訴えをどのように受けとめるだろうか?」と書かれていた。

 会ったこともあるけど、相澤さんは良い人なのだ。2018年の11月に、赤木さんの奥さんから旦那さんの残した記録を見せられても、奥さんに「記事にされたら死ぬ」といわれて黙ってた。

 赤木さんの奥さんも、たぶん良い人なのだと思う。亡くなった旦那さんの職場に手ひどい態度を取られるまで、じっと我慢していたくらいだ。

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