安倍首相の小中高校の全国一律休校要請に対しても、多くの自治体の首長が疑問の声を上げた。千葉市の谷俊人市長はツイッターで「社会が崩壊しかねません」とつぶやいた。

 滋賀県湖南市の谷畑英吾市長は自身のフェイスブックで「内閣総理大臣による地方自治への不当な介入であり、土足による蹂躙(じゅうりん)でもある」と厳しく批判した。湖南市では、小学校の全児童数は3028人(2019年5月現在)。休校が始まった3月2日から、両親が共働きなどの理由で自宅待機が難しい児童約600人を市内の小学校9校で受け入れた。県内では同市と野洲市だけが給食も提供した。

 湖南市学校給食センターの播口嘉紀所長が語る。

「休校中は小学校に給食を配送しても食材が余ってしまいます。食べ物を無駄にしないためにも、まず市内の高齢者・障がい者福祉施設に分けた後、フードバンクに寄付しました。そこから生活困窮家庭や子ども食堂のようなところに配られることになります」

 人口約94万人を擁する東京都世田谷区では、区立小学校に通う全児童数は約3万7千人おり、以前から、全学年の児童を対象にした放課後の子どもの居場所「BOP(Bace of Playing)」を全区立小学校内に設置している。そこで低学年の子どもを学童保育として受け入れた。

「だいたい400人を超えないくらいですから、全児童の2%程度です。午前中は自習、午後はグラウンドに出て運動させています。できる限り接触を避け、食事は対面にしないようにしています」(生涯学習・地域学校連携課)

 臨時休校が長期化するなかで、深刻なのはきちんとした食事が給食でしか取れない子どもたちの存在だ。家庭の経済的な理由などで昼食が食べられない小中学生を対象に、1食100円で弁当を配達する(3月25日で終了)。

「子どもたちはずっと家で過ごさなければならないことで、余計にストレスを抱えています。その影響を親御さんも受ける。食材や配送ルートの確保など課題は多いが、しっかり取り組みたい」(子ども家庭課)

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自治体に丸投げでは済まない