昨年7月、東京都庁。テレワークで不在の職員の机に「テレワーク中」の表示があった (c)朝日新聞社
昨年7月、東京都庁。テレワークで不在の職員の机に「テレワーク中」の表示があった (c)朝日新聞社

 新型コロナウイルスの影響で、出勤せずに在宅などで仕事ができるテレワークが進みそうだ。テレワーク相談センター(厚生労働省委託事業)では、この間、相談件数が通常の2.5倍程度に膨らんでいるという。

 広告会社の電通は、従業員1人がコロナウイルスの検査で陽性と確認され、2月26日から本社ビル(東京都港区)の約5千人を対象に在宅リモートワークとした。都内に本社や本店を構える化粧品大手の資生堂も、26日から3月15日まで、従業員約8千人を原則、出社禁止とし、在宅テレワークとしている。店頭や工場の生産担当者は除いている。

 2018年のテレワーク導入企業の割合は19.1%。形態は、パソコンなどモバイル機器を使い、場所を制限されず働くモバイルワーク63.5%、在宅勤務37.6%、サテライトオフィス勤務11.1%となっている。日本テレワーク協会の富樫美加事務局長はこう話す。

「テレワークには最低限、ICT(情報通信技術)の仕組みの構築が必要です。情報漏洩(ろうえい)いの危険があるため、社外からアクセスできる仕組みを整えないといけません」

 テレワークを進めるにはパソコンなどの通信回線が高速になっているかも大事なポイントになる。富樫さんは「固定回線がない場合、高速通信の手段がなければ非常にストレスが出てきます」と指摘する。また、職場側が入念に導入の準備を進めていないと、労務管理や、通信機や光熱費などの費用負担などの問題も出てくるという。

 労務管理では、メールで最低限、「ここから仕事を始めます」「これで終わります」といった連絡が必要になる。

 総務省調査でテレワークの導入目的(複数回答)は、定型的業務の生産性向上56.1%、通勤時間短縮48.5%、介護・育児など通勤困難者への対応26.0%などのほか、地震や新型インフルエンザなどでの事業継続が15.1%あった。コロナ問題という非常時対応で、テレワークへの関心が一気に高まったことは間違いない。(本誌・浅井秀樹)

※週刊朝日オンライン限定記事