立教大学 (c)朝日新聞社
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人気高まる映像系学部・学科 (週刊朝日2020年3月13日号より)
人気高まる映像系学部・学科 (週刊朝日2020年3月13日号より)

 大学入試の人気学部を見れば、昨今の社会情勢や若い世代の心理を読み取ることができる。今年は映像を学べる学部が人気。映像系クリエーターへの関心が高まっている。

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 最近人気の、映像系学部・学科について触れておこう。立教大現代心理学部映像身体学科は前年比98.1%で、大学全体では大きく志願者が減る中で、ほぼ前年並みの結果となった。東京電機大未来科学部情報メディア学科は123.2%、東京工科大メディア学部メディア学科は108.9%など高い増加を見せている。駿台予備学校の調査によると、今年はこの分野における志願者が増加しているという。

 背景には、YouTuberなどに代表されるような映像系クリエーターに対する人気の高まりがある。東京電機大ではVR(バーチャルリアリティー)やCG(コンピューターグラフィックス)、ゲームデザインなど映像に関わることを学ぶことができる。18年から「電大動画グランプリ」を開催し、学生にコンテンツづくりを競わせている。入学センターの担当者はこう語る。

「以前は機械や電機、建築などの分野に人気があったが、最近はシステムエンジニアといった情報の技術者に志願者が集まっていた。ただ、今年はコンテンツづくりのところで人気が出てきている。プログラムだけでは何をしているのかわかりづらいが、ゲームやCGなどで具体的な作品を見せると、高校生にも強い関心を持ってもらえます」

 社会情勢によって、志願の動向は大きく変わるのがわかる。少子化で経営環境が厳しくなる中、いかに魅力的なカリキュラムを用意できるか、大学の取り組みがいっそう問われている。(本誌・吉崎洋夫)

週刊朝日  2020年3月13日号より抜粋

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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