――今後、中国全土を含め対象を拡大していくつもりはありますか。

安倍首相「政府においてはこれまで、新型コロナウイルス感染症が蔓延(まんえん)をしている地域から来訪する外国人や感染症が発生している恐れがある客船に乗船する外国人について、入管法に基づき、入国拒否の措置を講じてきたところであります。感染の中心地である、武漢市を含む湖北省をその感染者数や移動制限措置も踏まえ、2月1日に対象地域としたほか、13日には浙江省を追加したところであります。また、27日には、感染者数の増加が顕著である韓国の大邱(テグ)広域市等を対象としたところです。

 感染拡大の状況は時々刻々と変化をしているわけでありますが、どこの地域を入国拒否の対象地域とするかは、政府として、今後も感染者数や移動制限措置の動向をしっかりと分析をし、必要とあらば国民の健康を守るために躊躇なく講じていく考えであります」

――クルーズ船のダイヤモンド・プリンセス号では700人以上の乗客乗員が感染するなど、船内の感染予防対策の課題が指摘されました。東京オリンピックを控え、管理能力が試され、注目されている。今後どのようにしていくか教えてください。

安倍首相「ダイヤモンド・プリンセス号については、多数かつ多様な国籍の方々が乗船する大型客船内でのウイルス集団感染というのは初めて直面する事態への対応が求められたところであります。クルーズ船の乗客や乗員のみなさまに対しては船内で感染がはじめて確認された2月5日から、順次、全員にPCR検査を行った。14日間の観察期間を設定し、感染拡大防止に最大限の措置を講じてきました。

 こういった状況の中で、感染拡大防止が有効に行われていたという専門家のご指摘も踏まえ、発症がなく、観察期間を終了した方々について、下船をしていただくという判断をしたところであります。国内における感染拡大を受けて、政府としては感染の流行を早期に終了させるために、重要な時期であると認識をしています。対策の基本方針を踏まえ、刻々と変化する状況を踏まえながら、地方自治体や医療関係者、国民のみなさまと一丸となって、先手先手で必要な対策を実施してまいる所存でありますが、オリンピック・パラリンピックを控えということでありますが、バッハ会長が、IOCからは日本の迅速な対応について評価を得ている。バッハ会長も2020年、東京開催が成功するよう全力を注ぐと発言をしてございます。われわれはその状況をなるべく早期に、アスリートのみなさんが安心してのぞめる安全な大会のための準備を進めていきたい考えです」(本誌・上田耕司)

※週刊朝日オンライン限定記事

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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