記者会見した安倍晋三首相(C)朝日新聞社
記者会見した安倍晋三首相(C)朝日新聞社

 安倍晋三首相は2月29日、首相官邸で新型コロナウイルス感染拡大予防についての緊急記者会見を行った。全国の小中高校などを3月2日から春休みまで一律休校を要請したことについては、「学校において、子供たちへの集団感染という事態はなんとしても、防がなければならない。そうした思いで決断したところであります」と、卒業、進学シーズンを前に断腸の思いの決断だったと明かした。

 そのうえで、唐突でかえって不安が広がるという声が上がっていることについては、「十分な説明がなかった、与党を含めて。確かにその通りなのでありますが、しかし、それは責任ある立場として、判断せざるを得なかった」と述べた。
 
 新型コロナウイスルの世界的な広がりについては、「韓国やイタリアなどでも感染者が急増しているが、わが国ではそこまでの拡大傾向にない」と語った。
 
 これに関しては、日本が十分な検査態勢を整えていないのではないかという指摘がある。安倍首相は「(新型コロナウイルスを検査する)PCR検査については『検査がしたくても、保健所で断られてやってもらえない』というご指摘をたくさんいただいている」としながら、「現在、検査で2~3時間を要しているが、15分程度に短縮できる新しい簡易検査機器の開発を進めています」と述べた。
 
 全国的に検査機関が不足している点については、「来週中にPCR検査に医療保険を適応させます。これにより、保健所を経由することなく、民間の検査機関に直接検査依頼を行うことができるようになります」と話した。

 さらには、「スポーツジムやビュッフェスタイルの会食で感染の拡大が見られる事例がありました」と注意を喚起。どこのドラッグストアやコンビニエンスストアでもマスクがほとんど売り切れていることについては、
「マスクは増産支援を行っており、3月は1月の生産量の2倍を超える、月6億枚以上の供給をします」と約束した。これで「十分な供給が確保できます」とも話した。

 トイレットペーパーについても一部の地域で店頭からなくなっているが、「トイレットペーパーのほぼ全量が国内生産でありまして、十分な供給量、在庫が確保されている。冷静な購買活動をお願いしたい」と呼びかけた。

著者プロフィールを見る
上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

上田耕司の記事一覧はこちら
次のページ
「政治は結果責任」