そのせいで、この国では感染が各地に広がり、感染経路の特定が困難になってしまった。

 なぜ、はじめに全国各地でウイルス検査をできるようにしなかったのか? ウイルス検査10万人でも、費用は10億円くらいという。

 でもって、こっちにはすぐに金を出している。2月6日、WHOがクルーズ船の感染者数を「日本」から「その他」に変えた。その日の夜のことだ。WHOのテドロス事務局長は、「新型コロナウイルスの発生に対し、1千万ドルを寄付してくれた日本に感謝」などとするツイートをあげた。

 つまり11億円支払って、日本の感染者数を少なく見せる買収に成功したわけ。その金は、真っ先に国民のための検査キットに使われるべきだった。

 そうそう、人獣共通感染症対策として、税金を186億円もかけて作った加計学園は動いていない。期待しちゃいないけど。

週刊朝日  2020年3月6日号

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室井佑月

室井佑月

室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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