室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた『この国は、変われないの?』(新日本出版社)が発売中
室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた『この国は、変われないの?』(新日本出版社)が発売中
イラスト/小田原ドラゴン
イラスト/小田原ドラゴン

 作家の室井佑月氏は、定年延長の決まった東京高検検事長の問題、そして新型肺炎に関する政府の対応について持論を展開する。

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 政府は東京高検の黒川弘務検事長(63)の定年延長を閣議決定した。2月11日の東京新聞「検事長人事案を官邸に蹴られた… 前代未聞の人事介入は検察の独立性を揺るがす」という記事にはこう書かれていた。

「黒川氏は法務省の官房長、次官を計七年五カ月も務め、(中略)この間、検察は政治家の絡む事件に積極的に動くことはなかった。『安倍政権の守護神』とやゆされたこともあった。今回の定年延長は『腐敗摘発はほどほどに』という検察へのメッセージだと受け止めた国民も多かったと思う。検察の独立性を揺るがすことだと想像できないのだろうか。長期政権末期の腐臭が漂う出来事である」

 記事の中には、「検察が官邸に押し切られたのは間違いないだろう」とも書かれていた。検察は、悪さした政治家を捜査し、捕まえる機関だ。そこのいずれトップになりそうな男が「安倍政権の守護神」。法を順守しなければならない機関が、ルール無視。

 てかさ、この国は法の上に安倍さんがあるんですね! すごいことです。

 権力の私物化、税金の不正使用の「桜を見る会」。ほんとうに議員が受け取ったのは中国の会社の金だけだったのか? 調べればどこまでも闇が広がっていきそうなカジノ汚職。

 安倍政権下では、やばい話がボロボロ出ていた。まさか、こういう手段に出てくるとはね。

 やばい話があがった時点で、「すべてきちんとします。もうしません」と頭下げるならまだ可愛げがある。けど、自分を捕まえる権限がある組織のトップを、自分に甘くしそうな人にするって……。

 真実に向き合おうとしない。大事なのは今の自分の都合だけ。

 このスタイルはいたるところで見受けられる。政府は14日の閣議でようやく、新型コロナウイルスの対策費として103億円を支出することを決めたが、遅すぎる。

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室井佑月(むろい・ゆづき)/作家。1970年、青森県生まれ。「小説新潮」誌の「読者による性の小説」に入選し作家デビュー。テレビ・コメンテーターとしても活躍。「しがみつく女」をまとめた「この国は、変われないの?」(新日本出版社)が発売中

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