国民民主党の原口一博国対委員長は言う。

「辻元さんはホテルの広報から回答をメールでもらった。広報は会社の公式見解を示すわけです。安倍首相はホテルの営業から『営業の秘密』という回答を得たと言っていた。でも自民党が安倍事務所から聴き取りした文書の中にはそんな文言はなかった。つまり安倍氏は話を足しているし、作っているんです。安倍さんは“詰んでいる”と思いますよ」

 安倍首相と辻元氏の応酬をみて、石破氏は首をかしげる。

「安倍総理は一人ひとりとホテル側との契約だったから明細書はなかったという説明。これについても、ホテル側から『一般論としては明細書を出しますが、当然、例外はございます』という回答があれば、この問題は済むことなんです。それがなぜできないか、ということでしょう」

 そのうえで苦言を呈す。

「今までは、自民党もひどいけど、当時の民主党に比べればまし、という消極的な選択で選ばれていたが、だんだんと野党のほうが筋が通っている、と見られるようになってきた。当選1回生、2回生の若い議員たちに、ちゃんと選挙区で説明できるようにしてあげるのも党の仕事だと思います」

 早くも“春一番”が吹き荒れる自民党内である。(本誌・上田耕司)

週刊朝日  2020年3月6日号

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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