帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など多数の著書がある
※写真はイメージです (撮影/多田敏男)
※写真はイメージです (撮影/多田敏男)

 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「『しないこと』を決める」。

*  *  *

【ポイント】
(1)「しないこと」を増やしていく必要がある
(2)しないと心に決めていることがいくつかある
(3)しないことでナイス・エイジングの質が高まる

 人生も後半を過ぎると、心静かに暮らしたいと思うようになります。そのためにはどうしたらいいのか。生活のなかで「しないこと」を増やしていく必要があると思います。その分だけ、ナイス・エイジングの質が高まっていくのです。

 私にも、これはしないぞと、心に決めていることがいくつかあります。

 まずは、テレビは朝5時ごろのNHKニュースしか見ないのです。ドラマやスポーツはもとより他の番組も、もう長年、見ていません。

 そのニュースにしても、紛争、テロ、殺人事件など嘆かわしいものが多くて、見続けるのが重荷になってきています。

 毎日のように殺人事件のニュースが目に入るので、最近は殺人が増えているのかと思ったら、統計上は昔より減ってきているのだそうです。

 私の学生時代はテレビもなかったし、殺人があっても知らなかっただけかもしれません。

 知らぬが仏で、その方がいいですね。だから、最近は同じ朝のニュースでも、平日より時間が短い土曜日や日曜日の方が好きになってきています。

 しないことの次はスマートフォン。私は絶対に手にしないことにしています。スマートフォンから溢れ出る情報量は尋常ではありません。そんなものを見て、知識と記憶を詰め込んでいったら、体が重くなって、動きが取れなくなってしまいます。

 以前にも書きましたが(2019年9月27日号)、「老子」も知識を捨てることで、自由が得られると教えています。

著者プロフィールを見る
帯津良一

帯津良一

帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中

帯津良一の記事一覧はこちら
次のページ