ガラ公演に出演するメンバー 左から3人目が平野亮一さん、5人目がアクリ瑠嘉さん、右から3人目が高田茜さん/(c)Andreuspenski
ガラ公演に出演するメンバー 左から3人目が平野亮一さん、5人目がアクリ瑠嘉さん、右から3人目が高田茜さん/(c)Andreuspenski
プリンシパルとして活躍する平野亮一さん/(c)EmmaKauldhar
プリンシパルとして活躍する平野亮一さん/(c)EmmaKauldhar
インタビューに答える小林ひかるさん/撮影 植田真紗美
インタビューに答える小林ひかるさん/撮影 植田真紗美

 世界3大バレエ団の一つ、英国ロイヤル・バレエ団のスターダンサーが登場するガラ公演が、1月31日に開幕する。ダンサーの頂点に立つプリンシパルの日本人2人も出演する。公演をプロデュースするのは、同バレエ団出身の小林ひかるさん。日本公演を決意した背景には、まだまだ知られていない、バレエの魅力を広めたいとの思いがあった。今回の公演の見どころや、バレエの楽しみ方について語った。

 日本だと、よく知られたバレエダンサーといえば、川哲也さんかと思います。熊川さんも、英国ロイヤル・バレエ団のプリンシパルとして活躍されていました。現在、ロイヤル・バレエ団の日本人のプリンシパルは、平野亮一さんと高田茜さんがいます。今回は、この2人を含むプリンシパルら10人のスターが競演します。私の初プロデュースでもあります。

 私は、昨年にロイヤル・バレエ団を引退した後、ダンサーを応援し、プロデュースする道を選びました。第1弾の舞台に日本を選んだ理由の一つは、バレエ界の危機的な状況を変えたいという思いがあったからです。

 英国の場合、大手のバレエ団に所属していれば生活できるだけの十分な報酬をもらえます。国の補助はもちろん、企業やスポンサーからも支援があります。

 一方、日本のほとんどのバレエダンサーは、生活するだけのお金をバレエで稼ぐことができていません。バレエ教室で講師をしたり、全く関係のない仕事で生活費を稼いだりしています。講師なら恵まれている方ですが、生徒の指導は大変なエネルギーが必要で、1日3クラスが限界でしょう。自分だけに集中できない環境で、いい踊りをし続けるのは難しいです。

 日本でもバレエダンサーが職業として成り立つ環境が必要です。そのためには、欧州のように、日常にバレエなどの演劇を楽しむ文化が醸成されないと難しいです。

 日本の多くの人にとって、バレエに対する印象は、「タイツをはいてつま先で踊るやつ」「何をしているのか意味が分からない」といったものだと思います。

次のページ
言葉のないバレエに映像を