ジャーナリストの伊藤詩織さんが、性暴力被害を受けたとして元TBS記者の山口敬之さんを訴えていた裁判は、伊藤さんの勝訴となった。東京地裁は12月18日、山口さんに330万円の支払いを命じた。
山口さんは19日、日本外国特派員協会(東京都千代田区)で会見し、判決を不服として控訴する意向を示した。
判決などによると2015年4月に、就職活動中だった伊藤さんは、当時TBSのワシントン支局長だった山口さんと都内で会食した。その後、山口さんの宿泊先のホテルで性行為をされた。山口さん側は「合意があった」などと主張していたが、判決では「酩酊(めいてい)状態で意識のない伊藤さんに合意がないまま性行為に及んだ」と認定された
この問題では伊藤さんが刑事告訴し、山口さんの逮捕状がいったん出されたが、執行されることはなかった。山口さんは16年7月に不起訴処分となり、伊藤さんが検察審査会に申し立てたが、17年9月に「不起訴相当」の結論となった。伊藤さんは民事裁判で真実を明らかにしたいとして、同月、1100万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴していた。
山口さんの会見では伊藤さんも記者席に座った。「伊藤さんはうそをついている」などと述べる山口さん側の主張をじっと聞いていた。山口さんに直接質問する機会はなかったが、自分の会見後の取材では報道陣に次のように答えた。
「今回のことについて悔やむような言葉を使われていたときは、とても複雑な気持ちになりました。私としては、やはりこういったことがなぜ起こってしまったのか、ご自身で向き合ってもらいたい。今後同じようなことが起きないために、性暴力を起こさないように考えていただけたら私はうれしいなと思います」
会見では山口さんや代理人の北口雅章弁護士が、判決の認定は誤りがあるなどと、主張を述べた。その後、質疑応答に移った。山口さんと記者の主なやり取りは次の通り。
――逮捕状が出たときに取り消しになった。「上級国民扱い」ではないのか。
まず、私は逮捕状が出たと言うことは知ることができません。私を逮捕しないで欲しいなどと、誰にも依頼したことはありません。警察の捜査対象になっていたことも、逮捕状が出たことも知らないのですから、誰かに依頼することはそもそも不可能なのです。