マリノスの親会社日産は経営危機で、リストラのためにマリノスをカジノ企業に売却という話もある。とても悲しい話だが、さらに心配なのは、林市長が二言目には、「横浜にはカネがないからカジノ誘致を」と強調することだ。横浜だけではない。

 少子高齢化を前に無策の自治体が、カネで市民の魂をカジノ企業に売り飛ばす。

 その先にあるのは、あらゆるイベントなどが最大の協賛企業であるカジノ企業なしでは成立せず、財政もカジノ依存という事態だ。原発立地地域と電力会社の関係と同じ。自治体そのものが最大のカジノ依存症患者となる。

 世界のカジノ企業が日本に群がるのは、大儲けできると踏んでいるからだが、カジノはゼロサムゲーム。カジノ企業の大儲け=顧客の大損という簡単な図式を理解すれば、自治体の進むべき道は明らかなのだが。

週刊朝日  2019年12月27日号

著者プロフィールを見る
古賀茂明

古賀茂明

古賀茂明(こが・しげあき)/古賀茂明政策ラボ代表、「改革はするが戦争はしない」フォーラム4提唱者。1955年、長崎県生まれ。東大法学部卒。元経済産業省の改革派官僚。産業再生機構執行役員、内閣審議官などを経て2011年退官。近著は『分断と凋落の日本』(日刊現代)など

古賀茂明の記事一覧はこちら