加害者と被害者を対等に並べ、どちらが嘘をついているか。そのように性暴力を語りたがる人が、この社会には本当に多い。そのような語り口そのものが性差別的であり、被害者が沈黙することで性暴力が再生産され、女性が人生を諦めることが前提になっている。

 早朝から深夜まで、報道陣の仕事は過酷だ。「男性の仕事」とされてきた報道の現場で、女性たちが屈辱に耐え沈黙を守りながら、報道している現実の闇を、やはりもうこのままにしてはいけない。

 性差別を受けることは、仕事に集中できず、希望や描いていた未来を奪われること。この社会にすみずみまで染み渡る性差別の空気を、ペンの力で、私たちの声の力で変えたい。

週刊朝日  2019年12月6日号

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北原みのり

北原みのり

北原みのり(きたはら・みのり)/1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表

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