経済部門は楽天会長兼社長の三木谷浩史さんが04年以来、2度目の受賞となった。アップルの共同設立者、スティーブ・ジョブズ氏が登場してからは、

「IT業界のユニホームは黒のTシャツやジャケットがユニホーム」

  になっているといい、三木谷氏も普段から黒を身に付けることが多い。

 携帯電話ネットワークの完全仮想化を発表するなど、次世代移動通信規格(5G)が実現する社会変革の先取りを目指す。

「日本は、米国や中国に比べ、世界の大きな変化の波に乗り遅れている面がある。勇気を持ってリスクを取り、世の中に貢献できるよう挑戦を続けたい」

 学術・文化部門は現代アーティストの小松美羽さんと横笛奏者・作曲家・プロデューサーの藤舎貴生さんが選ばれた。

 極彩色をまとった力強い神獣の絵画が海外を中心に人気を集める小松さんは、

「普段は家にこもって作業着でペイントまみれで仕事をしていて、ベストドレッサーというのはどうかな」

 と戸惑う。

「祈りは貧富の差も、人種の違いも超え、祈ることができればすべてに通じる。こうした魂の成長を大切に、描いていきたい」

 と話した。
 一方、藤舎さんは、作曲プロデュースした代表曲「幸魂奇魂(さきみたまくしみたま)」やEXILEとの共演、ファッションショーのランウェーなど、古典芸能に身を置くなかで、前衛的な取り組みを続ける。

「古典は守っているだけでは廃れる。前衛で攻め続ける人がいる一方で、古典を守り続ける人がいる。その両輪が必要だ」

 スポーツ部門はカヌー・スラロームの羽根田卓也選手が選ばれた。

「普段はジャージーで、カヌーの練習で水だらけになっている」

 16年リオデジャネイロ五輪で3位に入り、日本人で初めてカヌーでメダルを獲得。すでに来年の東京五輪代表にも内定し、日々の練習にも力が入る。

「自国開催の五輪は、他の五輪とは違って、自分が望んでもそうなるものではない。このめぐりあわせに感謝し、みなさんの期待に応えることが一番の仕事だ」

 と意欲を表明した。

 特別賞はピアニストの西川悟平さん。高校1年生でピアノを始めた遅咲きのピアニストだが、その後は一気にスターダムを駆け上がり、ニューヨークを舞台に活躍する。筋肉が硬直する難病に見舞われ、7本の指だけで鍵盤をたたく。

「二度とピアノを弾けないと言われたが、もう一回弾けるようになるイメージを持ち続けてリハビルを続けた。ピアニストというアイデンティティーを失う恐怖と戦い、下手でも弾き続けたことで恐怖心を克服した」

 表彰式には、ラグビー日本代表の稲垣啓太選手が自慢の私服で祝福に駆け付けた。(本誌・小島清利)

※週刊朝日オンライン限定記事