今年の「桜を見る会」で芸能人に囲まれる安倍首相と昭恵夫人 (c)朝日新聞社
今年の「桜を見る会」で芸能人に囲まれる安倍首相と昭恵夫人 (c)朝日新聞社

「桜を見る会」の招待客について、安倍首相の推薦が約1千人に上り、昭恵夫人の推薦枠まであったことが明らかになっている。各省庁や政治家からの推薦名簿をもとに、内閣官房と内閣府は「招待者名簿」を取りまとめている。その名簿が会の終了後、早々に廃棄された問題がいっそう疑惑に拍車をかけている。

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「昭恵氏が校長を務める『UZUの学校』で学んでいる方々、昭恵氏の農業仲間、日本酒をつくるグループ。こういった方々が『桜を見る会』に参加したことが明らかになっています」

 20日の衆院内閣委員会で宮本徹氏(共産)が、そう指摘した。この問題に火を付けた参院議員の田村智子氏(同)は本誌に、昭恵夫人の推薦の実態についてこう語った。

「昭恵さんは国会が森友問題で大変なときにスキーの企画をしていますが、そこで名刺交換した人のところに毎年、招待状が届いているんです。そういう形で、参加者がどんどん膨れ上がっていった」

 同日の衆院内閣委では、「昭恵夫人枠」について大西証史内閣審議官が「安倍事務所で参加者を幅広く募るプロセスの中で、夫人からの推薦もあったとのことでした」と説明した。

 事実上、「昭恵夫人枠」は間違いなさそうだが、さらに安倍首相の母洋子さんの「枠」なるものもあるのでは、とある大物俳優が話す。

「安倍総理の母の洋子さんが催している会で講演した芸能人も『桜を見る会』に複数回、出席していますよ。その人は『洋子さん枠』なのかもしれない」

「枠」かどうかは別として、洋子さんの影響があるという人物はほかにもいる。

 安倍夫妻のキューピッド役を務めた元山口新聞東京支局長の濱岡博司氏は、山口県の地元後援会関係者約850人をバス17台で、「桜を見る会」に招待していたことについて、こう見る。

「なぜ、そんなに人を引き連れていかなきゃいけないのかというと、ひとえに選挙対策ですよ。洋子さんの夫で、しんちゃん(安倍首相)の父親の晋太郎さんは、1963年の3回目の選挙で落選しているんです。洋子さんとしんちゃんはそのときのトラウマをいまだに共有しているんですね」

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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今西憲之

今西憲之

大阪府生まれのジャーナリスト。大阪を拠点に週刊誌や月刊誌の取材を手がける。「週刊朝日」記者歴は30年以上。政治、社会などを中心にジャンルを問わず広くニュースを発信する。

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吉崎洋夫

吉崎洋夫

1984年生まれ、東京都出身。早稲田大学院社会科学研究科修士課程修了。シンクタンク系のNPO法人を経て『週刊朝日』編集部に。2021年から『AERA dot.』記者として、政治・政策を中心に経済分野、事件・事故、自然災害など幅広いジャンルを取材している。

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